相続が発生された方
相続とは,ある人が死亡した場合(亡くなられた人を「被相続人」といいます)に,その人に帰属していた財産上の権利義務を,一定の身分関係に立つ者が引き継ぐ制度のことをいいます。
1.死亡届の提出
被相続人が亡くなられた際には,まず,市町村役場に死亡届を出しましょう。死亡届は,被相続人が亡くなったことを知った時から7日以内に市町村役場に提出しなければならないとされています(戸籍法86,87条)。
2.遺言書の確認
次に,遺言書が存在しているかどうかを確認しましょう。遺言がある場合,公正証書遺言(民法969条)を除いて,家庭裁判所に遺言を提出して,検認を請求しなければなりません(民法1004条1項)。遺言に遺産の処分方法を記載している場合には,その遺言の内容に沿って遺産の処分を行うことになりますが,詳細は「遺言執行」をご参照ください。
3.資産及び負債の調査
被相続人の資産や負債がどの程度あるのかを調査しましょう。相続が発生すると,相続人は,基本的に被相続人の資産と負債の両方を引き継ぐ立場に置かれます。そのため,被相続人の資産より負債の方が多い場合には,相続人は被相続人の負債を抱えることになってしまいます。そのような場合には,被相続人が亡くなったことを知った時から3か月以内に,相続放棄(放棄した者をはじめから相続人でなかったものと扱うこと)や限定承認(被相続人が残した債務を相続財産の限度で支払うことを条件として相続すること)の申請をすることによって,債務を引き継ぐことを制限することができます。
4.相続人の調査
また,相続人が誰であるのかを確認する作業も重要です。相続人の範囲や各相続人の相続分の割合は,民法によって定められています(民法900条)。
相続人の範囲と相続財産の範囲を確定した上で,遺言の内容に沿って,あるいは相続人間でどのように遺産を分割するかを協議して,被相続人の遺産を分配していくことになります。なお,被相続人の遺産の調査方法,相続人の調査方法については,「遺産調査・相続人調査」をご参照ください。