生前対策をお考えの方
近年,「終活」という言葉が,よく聞かれるようになりました。
より良い最後を迎えるために,近年,生前対策の重要性が指摘されています。
そこで,法律の立場から,より良い最後を迎えるために考えておいたほうが良いことを紹介します。
1 遺言書の準備
終活の第1歩は,遺言書の作成です。自分が死亡した後に親族同士が争うことになってはいけません。きちんと自分の意思を遺言書に残しておきましょう。
遺言書の作成には,主に1.自筆証書遺言,2.公正証書遺言,3.秘密証書遺言の方法があります。いずれの方法にも,特徴があります。
詳しい説明は,遺言書作成をご覧ください。
2 節税対策
自分が築き上げた財産は,出来るだけ多く後の世代に引き継ぎたいものです。そこで,代表的な節税対策として,以下の2つを紹介します。
(1)連年贈与
贈与税は,生前贈与による相続税逃れを防止するために設定された意味合いもあり,基本的には相続税よりも贈与税の方が負担額が高くなっています。
しかし,贈与税がかからない基礎控除は110万円であるため,110万円までなら非課税となります。
また,贈与税は贈与を受けた人が支払うので,相続人が複数いるときは1年間に[相続人×110万円]の財産を移動していけばよいのです。
このように,毎年将来の相続人などに贈与していくことを「連年贈与」といいます。
(2)居住用不動産の贈与の特例
不動産の贈与については,夫婦間における居住用不動産の贈与の特例というものがあり,婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与は基礎控除の110万円の他に,2,000万円まで控除が受けられるという制度です。
適用要件は以下になります
- 婚姻期間が20年を経過している
- 配偶者から贈与された財産が,住居用不動産を取得するための資金であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日まで居住し,その後も引き続き住み続ける見込みであること
3 認知症などになる前に,相続管理の方法を決めておく
高齢になってくると,自分が認知症になったりして,物事に対して,適確な判断が出来なくなることも考えられます。このように,判断能力が不十分になってしまった方々を保護し,支援する制度に成年後見制度があります。
法律では,判断能力の衰えの程度等に応じて,成年後見制度のなかでもいくつかの制度を用意しています。詳しい説明は成年後見制度をご覧ください。