戸籍収集

遺産分割は，被相続人が死亡時に有していた財産（遺産）について，個々の相続財産の権利者を確定させる手続きです。そのため，遺産分割をしていくためには，相続人を確定させていくことが必要不可欠です。

そして，相続人を確定させるためには，被相続人の戸籍謄本（戸籍内の全員の内容を複写した書面），除籍謄本（戸籍内の全員がその戸籍から抜けた状態の戸籍），改製原戸籍謄本（戸籍制度の改正により戸籍のスタイルが変更された際の書換え前の戸籍謄本）など（以下「戸籍謄本等」といいます。）を出生から死亡まで全て取得しなければなりません。この戸籍収集を怠ってしまうと，あとで新たな相続人が発覚し，遺産分割協議をはじめからやり直すことになったりすることもあります。そのような事態を生じさせないためにも，戸籍収集はしっかりと行う必要があります。

戸籍謄本等は，それぞれの時点の本籍地のある市町村役場で取得することができます。窓口で直接入手することもできますし，郵送での申請も可能です。申請書類や手数料は各自治体で異なりますので，事前に本籍地の市町村役場に照会しておくとよいでしょう。

また，戸籍謄本等の請求者は，原則として，その戸籍の名欄に記載のある方やその直系親族の方などであり，代理人に戸籍謄本の請求をしてもらう場合には委任状が必要となってきます。しかし，弁護士は，ご依頼いただき受任した事件又は事務に関する業務の遂行上必要な場合，職権で戸籍謄本等を取り寄せることが可能ですので，委任状は不要です。